WordPressを使って会員制サイトを自分(自社)で運用しようと思ったら、まずはレンタルサーバーを契約しなければなりません。ただし同様なサービスが色々とあり、専門家でない人にはどれも同じように見えると思います。そこでこの記事では、私自身が仕事で実際に取り扱ったことのある、おすすめのレンタルサーバーをついて紹介します。
なお、ここでレンタルサーバーに求めるのは、WordPressで会員制サイトを構築できることです。実はどんな技術を使って会員制サイトを構築するかによって選ぶ業者やプランは変わります。ただ、あまりにも技術的な話になってしまうため、話を簡単にするためにこの記事では難しいことはできる限り割愛して説明します。
レンタルサーバーとは
レンタルサーバーとは、自前でサーバー(サービス提供を目的としたコンピューター)を購入してインターネット上に公開する代わりに、インターネット上にすでに公開されているサーバーをレンタルできるサービスです。これらの業者を利用する最大のメリットは、サーバーの設定から保守をほぼ任せられることです。我々のような小規模事業者の場合は、自前でサーバーを購入して設定して・・・などとやるよりもサーバーを借りるほうがはるかに費用は安くなります。
ただし、インストールできるソフトウェアが制限されているため、カスタマイズはほぼできません。このため、業者があらかじめインストールしているソフトウェアが自分の利用目的に合うかを見極めて業者を選ぶ必要があります。
ただし、サーバーのハードウェアとOS等の保守はやってくれますが、そこに自分がインストールしたソフトウェア(ここではWordPressですね)の保守まではやってもらえません。WordPressを使って会員制サイトを運用していくうえでもソフトウェアの保守は必ず必要になってきますので、そこは勘違いのないようにして下さい。
維持費
レンタルサーバーの料金は、提供されるサーバーのスペックや利用人数によって変わってきます。レンタルサーバーは大きく分けて2種類あります。1つは共用サーバー、もうひとつは専用サーバーです。
共用サーバー
共用サーバーとは、1つのサーバーを複数の契約者で共用する契約です。簡単に説明すると、複数の世帯が居住するマンションをイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。同じサーバーを共同で使ってはいますが、マンションと同じように壁で仕切られているので他人のデータを覗き見たりはできないようになっています。ただし、マンションのエレベーターと同じように共用する部分もあるということです。
このため、共用サーバーの月額料金は低く設定されています。月額は300円〜5000円とかなり幅があります。費用にこれだけの幅があるのは、サーバーの性能やサーバー1台あたりの共用ユーザー数によって変わってきます。WordPressでホームページを運用している人のほとんどは、この共用サーバーを利用していると考えて良いでしょう。
WordPressを使って会員制サイトを運用することを考えた場合も、小さく始めるのであればまずは共用サーバーでも十分なパフォーマンスを得ることができます。ただし、あまり安いサーバーを使うことはおすすめしません。私のおすすめは月額1,000円程度のレンタルサーバーを契約することです。この程度の費用であれば、それほど負担は高くありません。
専用サーバー
専用サーバーとは、物理的に1台のサーバーを1社(もしくは1人)で占有する契約です。簡単に言えば、一軒家ですね。占有するだけあってスペックに余裕がありますが、その分月額の費用も高くなります。専用サーバーはそこそこアクセスが増えてきてから契約すればよいので、最初は共用サーバーをお勧めします。
WordPressで会員制サイトを運用するという目的の場合、最初から数多くの会員がいるとか、超高額の秘密の会員制サイトでセキュリティが何よりも最優先されるなどといった場合を除けば、やはり専用サーバーはほとんどのケースで必要ないでしょう。
WordPressを動かすための要件
会員制サイトをWordPressを使って運用しようと思った場合、借りようとするレンタルサーバーがWordPressが動く環境でなければ話になりません。最新のWordPressを動かすために最低限サーバーに求められる環境は以下のようになります。
- PHP バージョン 5.2.4 以上(7 以上を推奨)
- MySQL バージョン 5.0 以上(5.6 以上を推奨)
- WordPressに導入するプラグインが必要とする条件
これらの要件は各レンタルサーバー業者のホームページを見れば必ず書いてあります。もし記載がなかったり、古いバージョンをずっと使っている場合、その業者を選んではいけません。
できる限り推奨される環境で動かすのが望ましいことは当然ですが、3つめに挙げたように導入するWordPressのプラグインによっても条件は変わります。基本的にはあまり古いバージョンのPHPを使うと動かない可能性が高くなります。個人的には少なくともPHP 5.6 以上にしておくのが無難だと思います。逆にPHP7以上ですと、更新頻度が低いWordPressのプラグインを使うときに不具合が出る可能性があります。
ただ、2017年が終わる頃にはPHP7以上が完全な推奨環境になると思います。なお、WordPress本体はすでにPHP7が推奨となっています。
おすすめのレンタルサーバーは2つ
国内のレンタルサーバー業者はかなりの数がありますので、すべてのサービスを詳細に分析することは事実上困難です。ここでは、これまで私が実際に使ったり触ったことのある業者からおすすめの2社を紹介します。
XServer
実のところ私がいつも人にお勧めするのは、XServerです。最近はホームページをWordPressを使って構築するケースが非常に増えていますが、それに限らずWordPressを使って会員制サイトを構築する目的で使う場合でも、ここを選んでおけばほぼ間違いないと断言できます。あまりにも多くの会員(数千人とか)がいたり、多数のアクセスがあるわけでもない限りXServerにしておくと良いでしょう。
いくつか私がXServerの素晴らしいと思う点を紹介します。
管理画面が見やすい
これまで私が見てきた中で最も管理画面がキレイに整理されているのがXServerです。見やすさは使いやすさでもあります。もちろん技術的な用語が並んでいる画面ですので、素人の人にとってはちんぷんかんぷんであることには変わりはないでしょうが、マニュアルを見ながら作業をする場合でも見やすさは正義です。
WordPress上で会員制サイトを運用する人にとっては、メール配信も気になるところだと思います。迷惑メール対策ではDNSレコードの設定が必ず必要になってくるのですが、管理画面の操作性に一貫性があるため非常に使いやすく、こういった細かい設定もとてもわかりやすいといえます。
実際私も様々なサーバーで設定を行ってきましたが、見やすさと一貫性が備わっている業者はあまりないのが現実なのです。下の画像はXServerの管理画面にログインした後の画面です。よくわからない言葉も多いかも知れませんが、きれいにまとめられています。
最新の技術へのキャッチアップが速い
創業者(現代表でもある)が技術者ということもあって技術力が高いエンジニアが揃っているのか、最新技術を取り込むのが他の業者に比べてとても速いです。
最近はWordPressを使う人がかなり増えてきていることもあって、ほとんどの業者がWordPressへの対応をうたっていますが、XServerもそのひとつです。WordPressはけっこう頻繁にバージョンアップされるのですが、それほど長い期間をおかずに最新版への対応をメールで知らせてくれます。おそらく競合する業者の中でも最速の部類に入ると思います。
PHPというプログラミング言語の新しいバージョンへの対応も速いですし、PHPのバージョンの切り替えもノンストップでとても簡単に行えます。
費用対効果が高い
月額数百円の超格安レンタルサーバーと比較すると、XServerは月額1,000円からになりますから多少高いと言えるでしょう。
しかし、WordPressを使って会員制サイトを運用しようと思っているのであれば、超格安の業者は使うべきでありません。ビジネス目的であれば、たかだか年間1万数千円をサーバーに投資できないということはないはずですし、オンラインの会員制サイトを運用しようというのであればなおさらです。むしろこんなに安くていいのかと思ってもよいくらいです。
格安業者は1台あたりの共用ユーザー数が多いために、パフォーマンスが出にくくなり、サイトの動作がもっさりとしてきます。これはユーザー目線でみるとあまりいただけません。また、共用ユーザー数が多ければそれだけ迷惑なユーザーと同じサーバーになる可能性も上がり、影響も受けやすくなります。
会員制サイトでは、会員登録はもちろんですが、購読者(会員)のランクや種別によってアクセス制限をかけたり、本格的なサイトになれば契約情報や購入履歴なども扱います。こういった機能が増えれば増えるほどサーバーにパフォーマンスが求められますので、あまり格安業社は使わないようにしましょう。
さらに、私がこれまで触ってきた同価格帯のレンタルサーバーの中で最もサーバーレスポンスが速いと思ったのは、XServerです。私はパソコンからサーバーにアクセスしてコマンドを叩いて作業することがよくあるのですが、その際にファイルの圧縮や解凍などをサーバー上で行うことがあります。
そうすると、作業にかかる時間がサーバーによってかなり変わります。遅いところだと解凍に20秒ぐらいかかることがあるのに、XServerだと同じ作業が一瞬で終わったりとか、そういうのを体感してきています。
サーバーのスペックは各社少しずつアップデートしているはずですので、時期によって評価は変わるものですが、XServerも当然アップデートしていますので、今後もそれほど評価は変わらないと思われます。
これ以外にも細かいことの積み重ねがあって、私のXServerへの信頼はほとんど絶対的なものになっています。
さくらインターネット
特に理由がなければXServerでよいと思いますが、どうしてもXServerだと具合が悪いという場合は、さくらインターネットのレンタルサーバーをお勧めします。さくらインターネットも実績があり、かつ技術力のある業者ですので安心して利用することができます。もちろん、どこの業者もセキュリティ的に100%安全とは断言できないのですが、私の中ではこの2社のいずれかを選んでダメなら仕方がないと思っています。
なお無論のことですが、さくらインターネットもWordPressへの対応をうたっています。
ただし、さくらインターネットは管理画面に難があります。ホームページはリニューアルされて今風の見やすいホームページに変わったのですが、残念ながら管理画面は以前のままです。XServerと比べると整理された見やすい管理画面とは言い難いため、そこだけは理解した上で利用しましょう。
なお、さくらインターネットを利用する場合は最低でもスタンダード以上のプランを選びましょう。
まとめ
この記事では、WordPressを使って会員制サイトを運用するという観点からおすすめのレンタルサーバーを紹介しました。基本的にはXServerを使いましょうという内容になりましたが、これからWordPressを使って何かやろうと思っている人にとってはとても心強い業者だと思います。私自身、現時点でメインで使っているのはXServerです。
中には自社で会員制サイトを開発したり、外部に開発を委託する場合や、販売しているパッケージをサーバーにインストールして使うという場合もあるでしょう。そういった場合は、サーバーに求められる仕様やスペックが異なってきます。
ただ、実際に稼働してみないと必要なスペックはわからなかったりします。会員向けにコンテンツを配信したとしても、常に全員が毎晩コンテンツを見に来るわけではありませんし、中には買って満足してしまう人もかなりの割合で存在するからです。
アクセスの増減は管理画面でも見れるようになっていますし、サーバーの負荷が高くなってくれば、レンタルサーバー業社のほうからグレードアップなどの連絡がきますので、その時に考えることもできます。
まずは最低限必要なスペックを備えたレンタルサーバーのプランを選んでスタートするとよいでしょう。