会員制サイトを作る目的は様々です。ビジネス用途もあれば、趣味のサークルなどもありますし、近年利用者が爆発的に増えているSNSも会員制サイトの一種です。会員制サイトと一言でいうと、全部同じようなものに思えるかもしれませんが、実際には目的によって必要となる機能は変わってきます。
会員制サイトを作りたいと思ってインターネットを検索しても、なかなか自分が欲しい情報が手に入らないという人が結構います。そこで、この記事ではまず会員制サイトとは何なのかということを有名サイトを例に考えていきたいと思います。
ビジネス用会員制サイトは大きく分けて3種類ある
会員制サイトは、ビジネス的な側面から大きく分けると以下の3つに分類できます。
1. 本質的なサービスは別にあって、お客様の利便性を高める目的で構築される会員サイト
2. サイト自体がサービス提供を目的として構築される会員制サイト
3. サイト上でコンテンツを提供することを目的とした会員制サイト
1つめは、本業が別にあって、それをサポートするのが役割です。サポートと言っても必ずしもおまけという意味合いではなく、会員制サイトが売り上げを大きく後押しする場合もあります。ビジネスの本質ではないけれども、ビジネスを構成するうえで大きな役割を持っているこということですね。インターネット黎明期に最初に普及されはじめたのがこのタイプの会員制サイトです。もちろん今でもたくさんのサービスが運用されています。通常、この形態のサービスは無料であることが多いのが特徴です。
2つめは、会員制サイトそのものがお金を生み出す源泉となっています。顧客に会員登録をしてもらい、お金を払ってもらうことで会員向けのサービスを提供するスタイルです。パソコンとインターネットの普及によって近年急速に増えてきているのがこのタイプです。おそらくあなたもこのタイプのサービスを利用しているのではないでしょうか。
3つめについてはのちほど述べます。
利便性目的の会員制サイトの例
楽天
日本人でその存在を知らない人はいないのであろう日本最大のオンラインショッピングモールです。会員登録をしないと買い物はできません。
楽天についてはほとんど説明する必要もないと思いますが、ここでの大事なポイントは、楽天は会員から月会費などは取っていないということです。楽天のサイトに行けばたくさんのショップと商品が存在し、検索することで希望の商品がすぐに見つけられるという利便性を提供しているわけですね。
概要 | オンラインショッピングモール |
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本業 | オンラインテナント(場所代)および手数料 |
目的 | インターネット上にショッピングモールを形成し、ショップには多数の会員を、会員には豊富な品揃えと、商品検索を提供。 |
αカフェ
αカフェでは、SONY αシリーズのカメラで撮影した写真を投稿し、自分のギャラリーを作ることができ、他の会員に公開することができます。
このサイトにはカメラ好きしか集まりませんので、他人の写真も積極的に見に行きますし、自分の持っているレンズでの撮影例や、購入を検討しているレンズの撮影例なども簡単に見つけることができるわけです。「こんな写真が撮れるなら、次はこのレンズを買おう」ということも十分ありえます。
私自身もαユーザーですが、αカフェはよくできた活発なサイトです。こういった会員制サイトには顧客のロイヤリティを高め、販売を促進する効果が期待できます。
概要 | 同社(SONY)のαシリーズのカメラ購入者のコミュニティサイト |
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本業 | カメラの販売(カメラ部門に限る場合) |
目的 | ユーザー同士のコミュニケーションを促進することで製品へのロイヤリティを高め、顧客の囲い込みを行う。 |
クロネコメンバーズ
あなたも帰宅したら不在票が入っていて、宅配の再配達の依頼をしたことがあると思います。昔は音声ダイヤルなどを使って再配達の依頼をしていましたが、各種手続きがオンライン化されたことで面倒な手続きが簡単にできるようになりました。
また、伝票の作成もオンラインでできるようになっていて、届けてもらうことができます。これは双方にとって時間の節約になりますので、業務効率化という点でヤマト運輸にとってもメリットがあります。
概要 | クロネコヤマトの宅配に関する各種サービスをオンラインで提供。 |
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本業 | 宅配便 |
目的 | 会員に宅急便の各種サービスの利便性提供と、業務効率。 |
サービス提供が目的の会員制サイトの例
Hulu
月額固定で全ての映画やドラマが見放題というビジネスモデルを日本で最初に開始したオンライン動画サービスです。現在はdTVやNetFlixなど多くの会社が同様のサービスを展開しています。
Huluの場合、会員に動画コンテンツを提供することがサービス提供の主たる目的です。逆に顧客から見た場合も、会員制サイトそのものが顧客がお金を支払う動機になっています。
Facebookについてはほとんど説明の必要もないでしょうが、会員制サイトとしての特徴を挙げると、SNSですのでオンラインにおける人との交流の場を提供するサービスです。
ユーザーが利用する分にはお金はかかりませんが、多くの人が利用しているため広告収入で大きな利益を上げています。SNSのように大量にユーザーを集めることができる会員制サイトは、サービス提供を無料にして広告収入で利益を得ることも可能になります。こちらも会員制サイトそのものがサービス提供場所となっています。
EverNote
こちらも有名なオンラインメモサービスです。会員になることで、どこでも利用可能になるメモ帳が持てるサービスですね。
売り上げの基本は会員からの月額利用料ですが、無料枠もあります。EverNoteの場合、パソコン上で操作できるようにダウンロードソフトが提供されていますが、サービスそのものはオンラインにあると言っていいでしょう。近年はデータをオンライン上に置いて同期し、色々な場所やデバイスからアクセスできるようにしたクラウドサービスが増えていますが、考え方は全く同じです。
コンテンツの提供を目的とした会員制サイト
ここまで見てきたのは比較的大規模な会社が提供する会員制サイト・サービスでした。というのも、これまで会員制サイトを構築するにはそれなりの専門知識とシステム開発が必須だったからです。それなりの資金がなければ会員制サイトを個人や小さな会社が構築することは難しかったのです。
「だった」と過去形にしたのにはもちろん理由があります。今や、個人や小さな会社が会員制サイトを構築することは十分に可能な時代になりました。そして、個人や小さな会社がビジネス目的で会員制サイトを構築する理由の筆頭は、コンテンツ提供型の会員制サイトを作りたいからです。
コンテンツ提供は上記のサービス提供の一環ではないかという意見もあるかと思います。確かにその指摘は的を得ていると思います。ただ、コンテンツ提供は、より情報の提供に特化しているということと、近年は個人でもコンテンツ提供を目的とした会員制サービスが増えてきたこともあり、あえて別物として挙げました。おそらくこの記事を見ているあなたも、それが目的ではないでしょうか?
自分や会社のノウハウを文章や動画にしてその対価としてお金を支払ってもらう。一昔前までは専門の販売場所を介してでしかできなかったことが、自分の会員制サイトを作ることで可能になっています。
自分・自社で会員制サイトを構築するメリット
会員制サイトを自分で用意するメリットとは何でしょうか?それは、以下のようになります。
- 独自ドメインで運用でき、いつでも好きなようにサイトの内容を変えることができる。
- 自分専用の顧客リストができる。(マーケティング的にはこれが最も重要!)
- リストさえ構築できてしまえば、様々な形でリピート購入を狙える。
- サイトのデザインを自由にできる・もしくは選べる。
- 売り上げは基本的に全て自分のものになる。
自分・自社で会員制サイトを構築するデメリット
逆に、デメリットについても見てきましょう。
- 誰でも簡単に今すぐに構築!というわけにはいかない。
- 自分で運用するのであれば、多少の勉強は必要。
- 構築を外注するのであれば、多少はお金がかかる。(といっても以前に比べれば遥かに安くできます)
- サイトのデザインを考えなければならない。(メリットの逆ですね)
- お金を徴収する何らかの方法が必要。
会員制サイトは誰もが持てる時代
いかがでしたか?今や我々のような小さな会社や個人でも会員制サイトを持てる時代になりました。あなたが会員制サイトを構築して売上を上げようと考えているのであれば、上に述べたように、おそらくはコンテンツ提供を目的としたサイトではないでしょうか?
自分でサイトを用意するのは確かに大変な面もありますが、メリットも大きいです。他の記事も参考にしながらぜひチャレンジしてみてください。